第2話
薄明かりの中、髪の長い初老の男とスティール、他戦闘員がある会議室に数人集まっていた。
髪の長い男は「ドクター・ジェネス」。この組織の創始者である。
1メートルの正方形スクリーンが存在している。
そこには黒い虫のような顔の男がリング上で「ネット・シート」と戦っているVTRが流れている。
スクリーンの横にいるスーツ姿の女性が解説する。
「こちらが、先日、突然現れた男の姿です。」
「うむ。間違いないな。」とドクター。
スティールは「あのときに私がとどめをさしておけば・・・。」と顔をうずめる。
「まあよい。もう一度ヤツを捕えれば済むことだ。」
「ドクター。」
暗闇から声が。すると、ゆっくり歩いてくる怪人が。
「デュアルか。」落ち着いた口調でその怪人に声をかける。
「ヤツの居場所はすでに検索済です。」と戦闘員がドクターに向かって話す。
「デュアルを行かせてやれ。」
「し、しかし!」珍しく慌てて割って入るスティール。
「お前は捕えてくる役でよい。」
「く・・・。」悔しがるスティール。
同じころ、古い新聞を見つけた神条字蒋はメッセという企画・イベントを行う大きな建物の2階で新聞を見つめる。
そこには、「特殊警察部隊副隊長他数名死亡」と表記がある。
蒋は「レキが・・・・。」心の中でつぶやいた。
そして、心が揺れる蒋の耳に声が聞こえてきた。1階のほうだ。
「さー!みなさ~~~ん!コスプレ大作戦!開催だよおおおお!!」
「ん?」驚いた表情の蒋。
すぐ後に音楽が聞こえた。
蒋は戸惑いながらも200人前後のコスプレイヤーが歩き回るパーティ―会場へと降りた。
ステージではアイドルタレントだろうか、歌を披露している。
見たことのない姿の若者たちに戸惑う。
すると、「あ!兄ちゃんだ!」
聞きなれた声だ。聞こえる方向にゆっくり進んでいく。
「ほら!姉さん!あの人だよ!」
「え?あの、あの人?」
「こっちこっち!」コウは元気よく声をあげた。
蒋は「ああ、君か。」少し驚きつつもこたえる。
「姉さんだよ!」「ユウです・・・」姉さんと呼ばれた女が挨拶した。
「ねえ、どうしたの?」
ユウは意を決したかのように話す。「あの、以前会ったことないですか?」
「え?」コウは驚く。
その時!「きゃああああああ!」
と悲鳴が聞こえた。「え!なに?」コウとユウは驚いていた。
「む?危険だ!にげろ!」力のこもった表情で将は叫んだ。
ドガーン‼ドガーン!と破壊音が聞こえる。コスプレイヤーは逃げ出す。
それも同時に逃げるわけだから、すばやくとまではいかない。
「いたかーーー!」
肩にカノン砲の着いた怪人が撃ってきた。
「くらえっかーーーーー!!」
ドーン!
「あぶない!」蒋はコウとユウの前に背中向きに立つ!
ドガアアアアン!!!
「へへへ~、これだけの威力のカノンをくらったんだっか~!」余裕の笑いを見せる。
煙が次第に消えていく。蒋達の姿が見え始める。
「残念だったな。」
「げげ!!あんな強力な一撃を!?」驚くデュアル。
「兄ちゃん・・・」不安そうにコウが問いかける。
「彼なら、きっと大丈夫。私たちを救ってくれる!」自信に満ちたユウが話しかけた。
「さ!逃げなきゃ!」
「わが名はデュアル・カノン!お前を始末しにきたっかー!」
ライトニングは攻撃をするが、ひるむことなくぶつかってくる。
「かー!ネット・シートとは違うぜ!」
デュアルはドン!と突き出し、スキを逃さずカノンを発射させた!
「うわああああ!」
ライトニングは壁を突き破り、外へと飛ばされてしまった。
それと同時に車にも激突!大ダメージを食らい、倒れこんだがなんとか立ち上がった。
「か~!こういう使い方もあるんだぜ!」
そういうと、肩のカノン砲で駐車してあった車の下部をドーン!と撃ち、次々にライトニングに向かって飛ばした!
が、ひるむことなく交わしていく。
「むっかーーーー!」
「これでもか――――!!!」
そして、車が30台ほどライトニングの上にドガドガ!っと乗り、まるで廃車のタワーのようになった。
「はあ、はあ、どうだああああ。」
その状況を見ていたユウとコウ。
「あ・・・、そんな・・・。神条字さん・・・」ヒザを落とすユウ。
「姉さん?」
「かか~!、すぐにとどめをさしてやるぜ。」ゆっくり歩き出す。
すると、
車をすべて吹き飛ばし、ライトニングはパンチを浴びせた。
「く・・・・くそ!」
「無駄だ。俺を倒すのは諦めろ。」落ち着いた口調で話す。
つぶやきながらファイティングポーズをとる。
慌てて撃ち出す砲弾を素早くかわしていく。
「どうやら、撃ち出す勢いには限界があるようだな。」
「は!」
更に攻撃をしようとするが・・・・
デュアルはさっと動き、
近くにいた逃げ遅れた茶髪の男を抱えた。
「お、俺は一旦引くことにする・・・・!」
「ひ・・・ひいいい!!」恐怖で顔が引きつる男。
「何のマネだ。」
「う、動くとコイツの命はないぞ!」慌てたデュアルは震える男を抑えながら話す。
「いいだろう。やってみるがいい。」
「え?」人質も同時に答えた。
「その男を撃てば、必ずスキができる。俺はそのスキを狙うだけだ。」
ライトニングは腰のホルスターから「ライトニングショット」を持ち出し、構える。
「く・・・くそおおおお!」
驚きと戸惑いで慌てるデュアルを撃つ!
ドーン!
素早い銃撃にデュアルの頭のカバーが外れた。
「わわ!」と急いで離れる茶髪の男。
「はああ!!」高くジャンプし、キックポーズで落下!
ライダ――――
キイイイイック!!
「か・・・・か――――――――!!」
ドガアアアアアアン!!
爆発した。
「お前が一番の催し物だったな。」
「よかった・・・」ほっとするユウ。
「わー!やっぱり強いや!兄ちゃんは!」
走って駆け寄ってくる2人。
茶髪の男が不安げに話しかけてくる。「い、今の、本気じゃないすよね・・・?」
変身が解けた蒋は男に向かって・・・
「さあな。」
落ち着いた表情だ。
メッセ上空にカメラ付きの遠隔操作の小さなヘリ。
そこから送られてくる映像に苛立ちを見せる男。
「おのれ!」
状況を見て戦闘員に怒りをぶつけるスティール。
「お、落ち着いてください!」
「次は私が・・・!」息も荒いスティールはモニターに映る蒋に向かって、ハンマーをぶつける。
「あのさ。姉さんはなんで知ってるの?」
蒋、コウ、ユウ3人は川沿いを歩きながら話していた。
「コウ、この人は10年くらい前に助けてくれたのよ。」
「え?」
ユウは蒋についての思い出を話すだった。
次回、「第2の男」